「悪童島」


悪ガキ揃いの征伐隊を率いて、鬼ヶ島へと向かう桃太郎

- ぺーすけ -2002-03-07 22:54:26 (ホームページ)
「さあ。団子の時間だよ」
 今日もモモは、猿と犬とキジの前に、持参するキビ団子を広げてみせた。
 もう長いことやり続けているが、手懐けて遠征にお供させ、鬼どもと戦わせるための投資である。
 それで宝の山をごっそり分捕って帰れるなら、安いものではないか。
 しかし、動物たちは食べようとしない。
- ぺーすけ -2002-03-07 22:55:49
「クケクケ、ココ。桃太郎さん。キビ団子はもういいから、炒った南京豆をおくれよ」
「そうだよ、キビなんかいらない。キッキッ、フィリピン産のバナを一房ほどおくれよ」
「バウッ、ワウ! ペディグリーのドッグフードをおくれよ」
 キビばかり食って育ったモモは呆然となった。
 すべて、都まで行かねば手に入らぬものばかりではないか。
- ぺーすけ -2002-03-07 22:56:21
 おばあさんの入れた茶を飲みながら、モモは残念そうに語った。
「おばあさん。ケダモノも近頃は、ゼイタクになったものですね」
「困ったねえ。おまえひとりでは、鬼退治に行けないじゃないか」
「残念です」
「本当に残念だねえ。おじいさんが生きていたならば、一緒に呆れてもらえたのにねえ」
 そのおじいさんを日に二十四時間働かせて過労死させたのは、目の前にいるおばあさんであることをモモは知っていた。
- ぺーすけ -2002-03-07 22:56:55
 モモには、おばあさんにたとえ恩義は感じても、好きにはなれなかった。
 このおばあさんは、モモが生まれ出でるとき、貪欲さの発露をこらえきれぬ性急ぶりで、大きな桃の中身を確かめもせぬままゾーリンゲンの包丁の刃を深々と入れ、あやうくモモを真っ二つにしかけたことがある。
 成長したのちもモモの内心では、恨みの気持ちが根強く残っていたのだ。

- ぺーすけ -2002-03-07 22:57:37
 いまもおばあさんは、茶を大事そうにすすりながら、ずるそうにモモをうかがう。
「いっそ、里の悪童を二十人ほど選りすぐって、鬼ヶ島へ連れておいきよ。悪童どもに戦わせておまえはひとりだけ、舟の上で督戦しているといい。鬼も死ぬ、悪童も死ぬ。里が静かになって宝が入れば、一挙両得ではないかえ」
 面白いことを言う恐ろしいババアだな、とモモはひそかに思った。

- 次郎 -2002-04-04 03:04:42
 さっそくモモは、犬、猿、キジに、
「それぞれの好物を買ってやる」と言い3匹をお供に都へと向かった。
 当然モモの言葉はウソであり、別の考えで3匹を連れたのである。

 家を出て1時間、早くもキジがバテだした。原因は日頃の運動不足による、太りすぎである。
 しかたなく峠の茶屋で休憩をとるはめに・・・・、注文をしてからモモは、かわやのある店の奥へと進んだ。

 店の奥には二人の猟師が、落ち込んだ様子で座っていた。
「くそぉ、今日もボウズか・・・・」
「まぁ、そういう日もあるさ、気にするな」
「もう三日目だぞ、せっかく新しく買った猟銃なんだ。キジの1羽でもしとめなけりゃ、格好がつかんだろ!」

 そのとき、モモの目は密かに輝いたのだった。
- 岡谷 -2002-04-04 03:06:15 (ホームページ)
 モモは茶屋の表に戻ってくると、キジにこういった。
「店の奥におまえの好物があったぞ。都の物ほどうまくはないかもしれんが、試すくらいはしてみたらどうだ?」
 それを聞いたキジは目を輝かせていった。
「本当に!? 久しぶりだ・・・・・・」
 そうしてキジは、店の奥へと入っていった。
 キジの後ろ姿を見送りながら、モモは思った。
『これで、やっかい払いが出来る・・・・・・』

 数分後。
 店の奥から、けたたましい悲鳴が聞こえた。

 『やった・・・・・・』
 モモがそう思った時だった。
 店の奥からキジが出てきたのは。
 モモは驚きのあまり、しばらく声が出なかった。

 声が出せるようになった時、モモはおそるおそるキジに聞いた。
「・・・・・・お前、大丈夫だったのか?」
 キジはこともなげに答えた。
「あぁ。何か猟銃を持った男2人がいたな。で、そいつらを殴り倒して、そいつらが持ってた南京豆をいただいたよ。最近、腕が落ちたと思ってたが、まだまだイケるな」

 モモは、南京豆をほおばるキジを見ながら唖然としたのだった。
- 岡谷 -2002-04-04 03:07:05 (ホームページ)
『ここでは、無理だったか・・・・・・』
 キジをやっかい払いできなかったモモは、お金を置くと黙って茶屋を出た。

 そうして、2時間後。
 今度は猿がバテだした。
 やはり運動不足が原因らしい。

「どこかで休ませてほしいキャ!」
 そう言う猿を見て、モモは仕方なくドコかで休みをとるコトにした。
 すると・・・・・・。

 目の前に、時代錯誤もいいトコな白い大きな四角い建物が現れた。
 そして、その四角い建物の前に白い服を着て、白いひげを生やした老人が、困った様子で立っていたのであった。
 モモは、その老人に話しかけた。
「ちょっと、ココで休ませてもらいたいのですが・・・・・・」
 老人は、モモ達の様子をしばらく見ていたが、モモが猿をつれているのに気が付いて、目を輝かせた。
 老人は、モモにだけこっそりと話しかけた。
「休ませてやってもよいが、条件がある」
「なんでしょうか?」
「あんたのつれている猿が、ぜひ欲しい。今、実験動物が不足しておってな・・・・・・」

 後半の話は、モモは難しくて分からなかったが、老人が猿をほしがっているのは理解できた。
『今度こそやっかい払いができる・・・・・・』
 そう思ったモモは、猿を呼んで言った。
「あのおじいさんは、お前が気に入ったらしい。奥にお前だけのために、ごちそうを用意してくれるそうだ」
「ホントキャ!」
 そうして猿は、老人に付いて建物の奥へと入っていった。
『・・・・・・今度こそ、やっかい払いが』

 そして数分後。
 モモは自分の考えが甘かったのを思い知らされるのであった。

- 岡谷 -2002-04-04 03:07:52 (ホームページ)
 猿が建物の奥へ入ってから、数分後。
 モモは、奥の部屋から何かが出てくる気配を感じた。
『あの、老人かな?』
 そう思って、モモが振り返った時、そこにとんでもないモノを見たのであった。
 そこにいたのは・・・・・・。

 全長30メートルはあろうかという、毛むくじゃらの猿のような化け物だった。
 モモは思わず刀を抜いて構えた。
「何だ! これは!?」
 すると、その化け物がしゃべり出したのだ。
「何言ってるのキャ。一緒に旅してる猿じゃないキャ」
 モモは、驚きのあまり腰を抜かしそうになっていた。

「・・・・・・で、なんで・・・・・・、そんな・・・・・・姿に・・・・・・?」
 猿は答えた。
「あのじいさんに、変な薬を飲まされたキャ。気が付いたら、こうなってたキャ」
「・・・・・・そ・・・・・・・うか。で・・・・・・、あのじいさんは・・・・・・?」
 猿は、しばらく考え込んでいた。
 そして、思い出したように言った。
「気が付いたらいなくなってたキャ」
 そして、また考えてから言った。
「そういえば、部屋中に赤いモノが飛び散ってたような気がするキャ」
 その一言で、モモはあの老人の運命を悟ったのであった。
『・・・・・・じいさん』

 そうしてモモはまた、より恐ろしくなった仲間と共に、都へ向かうコトとなったのであった。
- ぺーすけ -2002-04-04 03:08:52
 さて。
 モモたちの行く手に、ひとりの悪童が現われた。

「むむむ……何者だ? 名を名乗れ!」
「悪童鈴之助だ!」
- ぺーすけ -2002-04-04 03:09:33
 悪童鈴之助は、立ちはだかるようにして、言い放った。
「このあたりは、おいらの縄張りだで。通りたいなら、みかじめを納めてもらおうや」
- めそ -2002-04-07 01:52:24
しかし悪童鈴之助の考えは三秒で否定された
眼前にはこの世のものとは思えない物が立っていたからだ
「も、物の怪だぁぁぁぁ!!おたすけぇぇぇぇぇぇ!!」
異様なまでに怖がる悪童鈴之助
「命ばかりは助けてやる。まぁ・・・金を少しばかり受け渡せばだがな。」
弱みに付け込んで良いように命令したまさにそのときだ!!
『グァルルルルルル・・・・』
突如犬が凶暴化しだしたのだ!!
彼は空腹の臨界点を突破しまさに野獣のごとき咆哮をあげていた
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
おびえきった悪童鈴之助に対して容赦なく食らいかかる
・・・数秒後そこにはおびただしい量の血液だけが残されていた
肉は食いちぎられ骨すら噛み砕かれて犬の胃袋に収まっていた
・・・次の瞬間犬に異変が起きた
めきめきと音を立てながら体が人化していく
DNAにヒトと言う情報が強制的に取り入れられたのだ
犬は二本足で立ちだした
しかしこれで都に行かずとも全ての目的を達成する事ができたのだ
・・・いや、まだ残っていた
猿の『フィリピン産バナナ一房』だ
・・・桃太郎は一路都へと目指した
異様な姿の化け物たちとともに・・・
- ぺーすけ -2002-05-01 00:02:48
実は、モモが都へ上っていったのには、もうひとつ理由があった。
それは、都大路に威容を誇る「悪童情報センター」を訪ね、日本中の悪童どものデータにあたって、鬼ヶ島遠征隊の人選をおこなうためだったのだ。
- ともくん( ̄∧ ̄)v -2002-05-21 11:17:32 (ホームページ)
「いらっしゃいませ♪ 悪童情報センターへようこそ」
高級そうな金縁に彩られたガラス張りの自動ドアを、『あるとこにはあるもんだな。。』とびくびくしながら抜けたモモの目に飛び込んできたのは、田舎暮らしのモモには見なれない垢抜けてキュートな赤系(赤鬼族)の小娘だった。
「ご用件は何でしょう?」
およそ公共施設の接待のマニュアルとは思えないひとなつっこい笑顔でモモの瞳を覗きこんでいる。
まだ新人(新鬼)だからであろうか。
- ぺーすけ -2003-03-15 16:49:57
ジジイとババアとケダモノしかおらぬ環境で育ち、女の子とはまともに接したことがなかったモモである。
やがて勇名を喧伝される日本一の怪力少年も、ここでは硬直してしまった。

- ぺーすけ -2003-03-15 16:51:46
「あ、あの……」
「はい」
「あ、あ、悪童を二十人ほど……こ、こちらで……ひ、ひ、引き取らせてもらえませんか?」
「まあ」
 鬼娘は、相手の不自然な態度を不思議がりながらも、話の内容に興味をもった様子である。
「悪い子たちを二十人も、どうするんですか?」
「は、はい……しょ、しょ、少年たちを船に乗せ……え、遠洋に連れていって……り、り、立派な……う、海の男に……き、鍛え直してやろうかと……」
「まあ、船旅! お船の名は?」
「……ピ、ピ……ピーチ……ピーチ・ボートです」
 モモは、口から出まかせに伝えた。


( 続く )



お話の続きをつくりたい人は、こちら

ご注意

一回分の投稿は、なるべく多すぎないよう願います
建て前上、同じ人が続けて、次の部分を書くことはできません
意味不明な記述、妨害的投稿、および行き過ぎた性表現は削除させていただきます


戻る